浦和レッズの一部サポーターが、会場前で「JAPANESE ONLY」(日本人以外お断り)という横断幕を掲げた問題で、チーム側が「無観客試合」などの厳しい制裁を受けた。
 「○○○○○ ONLY」は米国での黒人差別の際にも多用された典型的差別表現だ。外国人サポーターは「差別主義者だ!」と憤慨しており、大変不愉快な横断幕である。
 この横断幕を掲げた数名の愚かなサポーターは、「ゴール裏は聖地、そこに外国人が入ると、応援の統制がとれなくなるから」と、外国人排除の明確な意図を認めている。Jリーグ側は、チームマネジメントと警備会社などの杜撰を指摘した。だがこれを横目で見ながら、「またやってらあ」と「見てみぬふりをした」者も多いことだろう。数名のサポーターの責任に帰していいとは思われない。差別やイジメはサイレントマジョリティを前提に横行するものだ。

 浦和レッズの淵田社長は「差別がなくなるよう断固として取り組んで参ります」と謝罪した。厳密には人間社会から「差別がなくなる」ことはない。差別は絶えず醸成され発現してくるものであり、だからこそ、それと不断に闘う努力こそが大切だ。社長の言葉は、そういう決意表明と期待したい。だが、今後、いたるところで差別排外主義の行為は増えるだろう。わが国のトップがその先陣をきっているからである。

「差別主義の国」とのイメージが広がる日本
不満を外に向けてウサを晴らさせ、ナショナリズムで格差を誤魔化すこの国のトップ
 最近東京あたりで頻発している在日外国人(特に在日韓国人)への尾篭なヘイトスピーチも、国際機関から疑義を提示されるレベルとなっている。
 サッカーでの一部サポーターの薄っぺらいナショナリズムごっこといい、最近の日本の風潮は、歴史意識と国際感覚の大幅後退ともいえる愚かさを見せ付けている。
 これらの代表選手が、安部晋三氏の靖国神社への、政治的利害絡み&年末駆け込みドサクサ紛れの打算的参拝行為であろう。それ以前から石原慎太郎氏の「第三国人」発言でも、差別意識の顕在化が端的であった。
 これが、現政権の目指す「美しい国」なのだろう。それはナチスが目指した「純潔の第三帝国」なる理想に重なって見える。

日本の差別排外主義の背景にあるもの
 日本株を一時的に上げて、含み損を回復した子株主のご機嫌をとってみせたつもりだろうが、そのほとんどは米国の金融緩和の最後の冒険にささえられたものだ。そして見せかけだけのファンダメンタルの変化の一方で、国民の財布に一服感はないどころか、歯止めをはずされそうな消費税増税で気分は冷え込んでいる。
 隣国中国の軍備増強に警戒感を煽るのも結構だが、その一方で、「世界第二の経済大国」の座を隣国に奪われたという挫折感を募らせるあまり、嫌中、嫌韓の見出しが躍っている。
 これまで貧しかった中国や韓国への日本人による差別意識が顕在化しているだけであろう。戦後、戦争責任への自覚が希薄なまま、米国の軍事力に頼りながら商売に専念し、それを「成功」と勘違いして、産業公害などを長期にわたって放置してきたし、未だに放置したままだ。
 経済成長のツケを押し付けた自国民の犠牲さえ見てみぬふりをしながら、一方で、隣国の貧しさを、上から目線で小馬鹿にしてきたことのツケが回って来ているだけである。人間、馬鹿にされれば、「なにくそ精神」で巨大な成り上がりパワーを発揮するのだ。当たり前の構造だ。それはかつての日本人も全く同じだ。中国の問題点はほとんどすべて日本が経験してきたことだ。他国に追い越されかけていることに狼狽し、その主な原因である若い世代を育てることに手を抜いてきたこの30年の自国自身の責任を棚に上げ、自分たちの歴史すら正視できないで、他国へ八つ当たりしている情けない国になりかけている。
 こんな状況では憂さ晴らしの排外主義に拍車がかかり、日本の品格は落ち込む一方になるだろう。