泣き落としと開き直り~下世話なショーと化した会見
質問を制限・封殺し、労使問題にすり替える弁護士

2014年4月9日16時
小保方晴子氏の記者会見を見た。無内容、いや、もう惨憺たる状態になっている。弁護士の「解説」も聞くだけ時間の無駄。理研を対抗者として問題の矮小化をはかっているだけで、まったく新味がない。弁護士も解雇撤回闘争に職域を限定してやるならまだしも、軌道を外れ、研究者倫理の矮小化へと依頼人と世論をミスリードしている。
その結果、「小保方氏は、もしかしたら、何かおもしろい現象を目にしたのかもしれない。それが何かよくわからないけど…」という陳腐で愚かしい現状が一層覆い隠せなくなった。
両者に共通しているのは「倫理」の喪失であり、その倫理は、「科学的発見を知見として裏付け蓄積する正しい手法、反証可能性を保証する研究者が自分に課する厳しく公明正大な態度」である。ところが会見中、彼女は、「私は(だけが)トレース(追跡)できる」「第三者がトレースできることに関しては不注意でした」「私の作品」「現象論を記述しただけ」などと、科学とは無縁の発想を口にしている。
「公開実験」は可能か?については「どうでしょうか?研究室はいつも公開されている」といいつつ、一転、「私が幹細胞をつくるのをみたいという人がいるなら出かけていく。」…
もう、これは手品の出前の話になっている。

毎日新聞記者が極めて静かに質問を続けようとすると、弁護士が制止し、やめさせていく。なんだこの弁護士は? 「ひとり2問程度でお願いしたい」、「以降はひとり1問」と弁護士。これは公明正大な会見ではない。
一見、あたかも「呆然自失化」したかのような顔を会見で晒し続け、“この可愛らしい女の子を、きびしく追及するのか”(これ自体が女性蔑視の発想)とメディアに言外で脅しをかけながら、科学的検証についての核心部分の議論を巧妙かつ的確に避け(後半、世俗的野心が漏れ出はじめたが)、一方で彼女の顔を大写しにして世間の同情を利用しながら、「倫理」を無意味化する努力をしている。不正に手を染めた人間を、十分に中身も検証させず、免罪しようとする新しい尾篭なやり方が開発された。

「STAP現象は何度も(200回以上も)確認されている真実です」???
3年で200回???
小保方氏は「STAP現象は何度も、200回以上も確認されている真実です」 と言い切った。
最近、私が購入した科学誌「Newton」では「リンパ球という細胞に酸性溶液の刺激をあたえてからSTAP細胞に変化するまでの期間は7日間ほどである」と記述している。顕微鏡で細胞を生きたまま観察し続けるライブイメーstap Newton02ジング法で追跡すると解説されている。(この記事には、理研の笹井芳樹氏と山梨大学の若山照彦氏が協力している)
ほう! そうすると200回×7日で、1400日間「STAP細胞」が生産され続けていたということか? すると1400日÷300日(/年・フル稼働)で換算してみると、5年近く前からSTAP細胞が人類の歴史に登場し、連日連夜、失敗することなく、生産されつづけていた事になるのか? それにもかかわらず今回の論文では、写真も適当なものが見当たらす、論文も他人のパクリで体裁をつけ、文章で説明することが至難の業だったということか? いや、でも研究は、確か3年ではなかったのか。
それとも、こういう掛け算と割り算だけでもわかる初歩的つっこみは、高尚なる記者会見の場では許されないのか? でも、新興宗教の雑誌とオボしきライターも質問していたようだが…。
科学誌や大々的に報道したメディアは、その名誉にかけて、研究者の「モラル」を再認識、再検証すべきだろう。「Newton」誌にしても、高い代金を読者から徴収して、「STAP細胞はなにがすごいのか?」と表1で見出しを躍らせた。原子力を夢の技術だと、かつては、もてはやし続けた同誌だが、今回も、STAP細胞を「足を切断しても再生するイモリのようにヒトの組織を再生させるような研究につながるポテンシャル」と書き立てている。もっとも、この細胞…、もともと信憑性が少なすぎるシロモノであることも、半ば認めているが…。
また小保方氏は、「ひとの役にたちたい」と美しい言葉を口にするが、この細胞、もし仮に現実に登場すればクローン技術としての倫理問題にも直結する。stap Newton01

詭弁論法のストーリー
「多くの人の役にたちたい」…けれど…「つくり方のコツは教えない」???
今回の「ショー」の特徴は、「多くの人々に役にたちたい」」 「研究の内容以外のところに注目があつまってしまい、研究が遅れていることに…」と涙ながらに「訴える」小保方氏のパフォーマンスだ。もうこうなっては、科学好きなアマチュアとしても唾棄したくなる下手な役者のひとり芝居だ。一部メディアがそれに乗って躍り、視聴率を稼ぎ商売のネタにしている。
「人々の役に立ちたい」…結構な心である。だいたいの人間が持っている気持ちである。
ところが、その「善意の人間」が怪しいやり方で捏造した論文の不備は「謝罪すれば許されるべきものであり」…そして、「悪気のない善意こそは、行為者の行為が真実であることを絶対化する」という主客転倒の確信犯的ロジック…
これは「定言命の誤謬」なる詭弁論法を援用したソフィストの論理であり、詭弁政治家の姿である。
  ■類似例 参考資料: 民主主義を称えながら民主主義を抹殺する民主集中制の邪悪な詭弁
   所収: 森永ヒ素ミルク中毒事件資料館WEBサイト→ 民主集中制という麻薬的党派性向」コーナー
14時ころ、テレビ東京が、「科学に対する考え方がかわったでしょうか?」と質問。小保方「マイナス100から科学にむきあっていくチャンスがあれば…」「私にできる社会貢献があれば探していきたい」??? 意味不明。
でも論文だけは撤回しない。 
その後あろうことか、「他の研究者が作成できないのはコツを知らないから。私だけがSTAP細胞の作成のコツを知っているが、次の論文の手前(ここで笑い)言わない」と放言…これがさっきまで「世の中のために役にたちたい」と泣きながら言ってのけた同じ人間のセリフだ。
ここまでくると、もう、「容姿と涙を徹底駆使して…とことん悪じゃのう」と笑うしかない。

「撤回すれば間違いになるから、結論が正しい以上、撤回しない」???
TBSが「ご自身で200回も再現に成功しているのなら、一回撤回して、再度証明すればいいのでは」との質問に、「撤回すれば間違いになるから結論が正しい以上、撤回しない」…「撤回すればなかったことになる」という発言は、彼女の自己矛盾を端的に示している。それ以前に、循環論法で破綻しているが。

「ノートはもっとある」。で、2冊が4~5冊になっただけ。しかし、他人にはトレースできない???
小保方氏は「3年間で2冊のノート」に関しては、もっとノートは存在すると述べた。つまり「理研に提出したノートが2冊であるに過ぎない」と述べたのが、これを受けて朝日新聞から発せられた「ノートは何冊あるのか?」の質問に対し、「3年間で2冊」が「少なくとも(3年間で)4~5冊」になっただけであった。
腰が折れそうになった。
読売テレビの「悪意は故意とも解釈されるとの理研の見解」に対し「私も悪意の意味はわからなかったので、悪意とは…」 ここで弁護士が割り込み「過失を除く…」  読売「いや小保方さんご本人は“悪意”をどう解釈しているのか?」と食い下がると、ここで弁護士、「そこは法律的な解釈になってくるから」と質問をぶった切った。
ここで、NHK中継終わり。

「STAP細胞の再現に成功した別の研究者がいる」が迷惑がかかるから言えない???
このあと小保方氏は「STAP細胞の再現に成功した別のインディペンデント(独立研究者)がいる」とのべ、「それは誰?」の質問を、弁護士がぶった切り。本人は公の場だから言えない…」
なぜいえないのか? 「真実」を口にする科学者が一転、情報公開を拒否し、隠蔽に走る滑稽。

争点をねじまげる弁護士
弁護士「一件、科学認定の論争のように見えますが、理研の要件の論争だ、これほどの不利益処分を化すのであれば (なんだか就業規則の労働問題?)…」と弁護士。

私は複数の研究所を亘り歩いてきたから自己流のやり方、だからうまく書けなかった???
おかしい、どこにも勤まらなかっただけではないか?わたり歩いていた研究所で、一度も倫理を学ばなかったのか?

「STAP細胞があれば、 “小保方さんすごかったね”  となりますよね」 というTVコメンテーター???
ならない。だがテレビがそういう方向に国民を扇動・誘導することはできる。だが、最終的に日本人が笑われ、損をするだけだ。発想自体がおかしい。以下の雪男のたとえ話が理解できないらしい。

もう、むちゃくちゃ、「目くそ、鼻くそ」の世界だ。
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2014年4月9日正午
森永ヒ素ミルク中毒事件では、多くの御用学者が被害者圧殺に14年以上も加担しながら、なんら、処罰を受けることはなかった。そればかりか、御用学者は、しばしば、弟子とそれに利益誘導される諸党派勢力の加担で、しばしば息を吹き返す。その「復権」に利用されるのが「あの人は日頃は良い人だった」「岩波文庫を愛する哲学者だった」というくだらないプロパガンダ。「わが党は憲法9条を守る平和の党だ、だからわが党の行為には間違いはない」も同レベル。このくだらない「定言命の誤謬を利用した誘導」に、多くの人がだまされる。
だが、この嘘を見抜く市民も今では多い。

政治の挑発で捻じ曲げられる学術
http://morinaga-hiso.blog.jp/archives/1001144937.html
森永ヒ素ミルク中毒事件解説ポスター
http://ww3.tiki.ne.jp/~jcn-o/morinaga-hiso-poster-00.pdf

小保方晴子氏がメディアの習性をよく把握した上で、極めて巧みに戦術的にメディアに対応している。あと10分で大阪で会見が始まる。情緒に流される世論動向を織り込みながら、「何度も確認された真実です」という主語も不明なコメントを発しながら、いったん「入院」してから会見に臨むという手法を使いながら、「彼女のお心」などと皇室まがいの扱いをするワイドショーに登場する弁護士やコメンテーターと団子になりながら、学術の真髄を劣化させ続けている。
「小保方晴子の心身の状態に配慮して頂ける方」という「記者への参加資格」を提示してオフィシャルな会見を設定するなど、笑止もいいところだ。これで「小保方氏反撃開始」という見出しをつけるメディアもどうか?
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昨夜までに、小保方晴子氏の事件に関して、ブログ「世に倦む日日」 が多くの示唆に富む論考を公開している。
「いじめ問題」に化けた小保方事件 - 西崎文子の愚論と山中伸弥の正論 
小保方晴子事件とソクラテス - ソフィストによる不正の相対化
このブログに寄せられているコメントを一部紹介する。


Commented by 柿右衛門
>小保方氏は「論文のミスで騒がれたが、STAPそのものは間違いなくある」と話しているという。

「私は雪男を見た」と言う人がいるとする。その写真を撮ったという。実は、その雪男は人間がキグルミを着て歩いた偽装だとする。画像を分析したら、おかしな箇所がいっぱいある不自然なものだとしても、見た者は「雪男がいる」と主張する。
だれかが、キグルミを着せた人間、キグルミを着て中に入っていた人間をつかまえて白日の下に晒さなければ、永遠に押し問答が続く。
「雪男を見た」と主張して戦うつもりの人間は、公の場に雪男を連れてくることができるのであろうか。
過呼吸になったりする修羅場は見たくないものである。それでなくても「イジメ」などというおかしな詭弁がまかり通っているのであるから。
Commented by Germany2015
企業で一研究者として日々実験を行っています。
今回の問題、筆者に深く共感します。
同時に、小保方が行ったこと、弁解については本当に許しがたい。
研究者としての矜持が感じられない。また、日本の科学界、特に再生医療に携わる研究者、また、研究者を夢見る子供たち、学生たちにどれほどダメージを与えたのか、小保方は考えたことがあるのでしょうか。
Commented by 長坂 at 2014-04-07 23:00 x

うちのボンクラ娘が高1の時の生物の先生はフランス人で、ノートの取り方に非常に厳しく、ボールペンのみ(試験も)、訂正は定規で線を引き、毎回必ず日付を書くなど細かいルールが沢山ありました。先日、山中教授が国会で不正防止のため、実験ノートの書き方として同様の事を話されていてビックリ!中高生相手ならいざ知らず、IPSだSTAPだと神をも恐れぬ領域。そういう実験に従事するかもしれない学生達に、不正はいけませんから始めなきゃいけないのか!コピペや写真の使い回しや違うマウスがなぜ非難されないのか?今日のblogも見事本当に素晴らしいです。倫社の時間に寝ていた自分が恥ずかしい。
Commented by ijkl at 2014-04-07 23:09 x

小保方さんも悪いが早稲田の常田聡研究室のその他の博士論文も酷い。こんな状態では、コピペをしない、自分で文章を書く、他者の文章の引用と自分の主張を区別して書く、そして他者の成果と自分の成果をきちんと区別するという、研究者としての基礎的な素養が涵養されるとは思えません。

http://stapcells.blogspot.jp/2014/03/blog-post_15.html

どんどん検証して欲しいですね。そしてこのようなことをした者たちは、それ相応に裁かれる。例えば、常田聡研究室を閉鎖するなど。そのようなこと以外に、研究倫理を再構築する(「正と善に碇づけて物事を判断する」)ことができないのではないでしょうか。
Commented by NY金魚 at 2014-04-08 06:17 x

命を賭して倫理を説いたソクラテスの話、感銘を受けました。『善く生きること』の追求の真の目的は魂(プシュケー)を善く完成することである。
そして「知」が魂を離れて虚空に飛んでしまった、わが故郷のソフィストたちに絶望します。
日本の学界のトップの、あまりに陰惨な構造に辟易して、コメントを控えておりました。

ことしのソチ五輪で米NBC TVは、もう20年も前の1994年のリレハンメル五輪直前、フィギュア・スケートのナンシー・ケリガン襲撃事件をくり返し放映していました。当時ライバルだったトーニャ・ハーディングが前夫を雇ってナンシーの膝を殴打したという事件ですが、華やかな五輪の放送で、実に気の滅入る話がくり返されました。若い女子選手による陰謀など許してはならないという、五輪やスポーツの自浄作用を意図したのかもしれません。倫理を無視した異様な犯罪は多分アメリカの方が多いでしょうが、社会が不正を憎み、特に学界などはそれを自浄しようという意志も持っていると思います。
大切なのは、学界がこの状況をこころから反省し、これからの若い士を深く啓蒙し、『ソクラテスの弁明』を行なえる『場』を創りはじめることだと思います。
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「世に倦む日日」ブログ: ツイッター より 一部抜粋
それともう一つ。弁護士が登場して、小保方擁護派に勢いがついた状況があり、その中味として、人権主義からの同情論が説得力を持ったことがある。早く言えば、左翼が小保方擁護論に傾いている。①人権主義の動機と、②組織権力(理研・文科省)への反発。この二つをベースに左翼が小保方擁護へ。

このままだと、本当に「STAP細胞」は「もんじゅ」になってしまう。高速増殖炉と核燃料サイクルと同じ化け物になってしまう。「もんじゅ」、半世紀かけて1兆810億円の税金を注ぎ込んだ。「STAP細胞」を「もんじゅ」のような宝の山にして蜜を吸いたいシロアリ連中が多くいるのだ。

こういう「悪意の有無」とか「解雇の妥当性」が争点になる訴訟では、勝敗を分ける決め手となるポイントがある。それはここでは書かないが、法曹関係者ならよく知っていること。小保方側は、全力で世論の同情と支持を集める。理研叩きと尻尾切り批判の世論を沸騰させて、係争を有利に運ぼうとする。

小保方晴子に天才的能力があったら、論文をコピペで作る必要はないんだよ。捏造論文を書くのがガリレオやアインシュタインと同じだと言うのなら、不正論文で解雇された研究者は全員が天才だ。気味悪い擁護論が跋扈している。とんでもないことになった。http://t.co/EMIARrrZjc 

天才はコピペなんかしませんよ。天才というのは常にオリジナルで挑戦するわけで、人の猿まねは絶対にしない。そして、オリジナルな新しい発見や理論を、誰もが認める方法で証明しようとする。つまり、天才研究者から一番遠いところにあるのが、捏造・改竄・剽窃の不正行為だ。お分かりかな。