民間軍事会社で「気分はもう戦争」?   その生々しい思想的背景
ブログに田母神氏との親密写真に加え、安部首相夫妻賛美の写真…
2014.8.20

PRI_20140822102803https://www.youtube.com/watch?v=pwgB5xgmsJM
YouTube<拘束された湯川遙菜氏と「イスラム国」戦闘員とのやりとり>


「イスラム国」戦闘員から身分を聞かれると、片言の英語で、「仕事」。「職業」を追及されて、「写真家」。「銃をなぜ持っているのか?」と詰問されて、一転「医者」。挙句に、「半分医者で半分写真家」。
軍事や警護とは無縁、語学力もほとんど見られない上、意味不明のパニックに陥っていて、とても海外で活動をする人間の水準に達していない。ネット上でも「ボケ」とか「滑稽」など、散々に書き込みされている。

だが、この哀れな若者を笑って済ませるわけにはいかないようだ。それは日を追って深刻な事態になりつつある。安部内閣や偏狭なナショナリストが声高に主張してきた「集団的自衛権」なるプロパガンダの影響を真に受けた、たった一人の日本人の行動が、すでにイスラム過激派に「敵性国家=日本」という認識を与え始めている。
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怖れていた事が、瞬く間に現実に… 2014.8.21
ジハード戦士が世界に発信を開始
イスラム原理主義系の人物による「敵対行動の背景暴露」が始まった。

https://twitter.com/DrA12325665/status/501104425876733952/photo/1
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案の定、イスラム原理主義組織の関係者らしき人間のツイッターから、「敵の背景」として元自衛隊幕僚長であり、前東京都知事候補・田母神俊雄氏の写真が、全世界にむけて発信されるに到った。
このツイッターは、8月21日までは背景写真が黒一色だったが、翌日22日には、突然、ジハードを象徴するかのような完全武装のイスラム戦士の写真が背景画面に登場した。(上が21日までの画面、下が22日からの画面)
この若者を煽って鉄砲を担がせるに到った写真の主たちはどう責任をとるつもりなのか?
PRI_20140822182252








アラビア語で おおまか「スパイの所有画像、日本軍の元空軍参謀長」 と書かれているようだ。

当の田母神氏の態度について、以下のサイトが憤りを込めて告発しており、参考になる。
シリア邦人拘束事件と馬脚を表した田母神俊雄 http://blogos.com/article/92734/
PRI_20140822093318







“あんな人は知らない” と大慌てである。 いつ会ったか覚えていない、って?
仮に「いちげんさん」だったとしても、写真の背景などをみれば、どこの会場だったかくらい、すぐに思い出すのが普通だ。それに支持者の顔を覚えていないと言い放つ政治家はもう失格だ。
そもそも、この湯川遙菜氏は、田母神氏の支持者の中核的なキャラではないか? 
それを「知らん」と切り捨てるとは、驚きだ。

ここに、彼の「有権者、支持者」に対するものの考え方や人間性が良く出ている。

こういう行き場を失って精神的にさまよう若者を、煽って、煽って、煽り倒し続けてきたことになんのためらいも反省もなく、若年層に熱烈な支持を広げてきた自らのプロパガンダの生み出した結果からは、ひたすら逃げる回る無責任ぶりである…。最後は「マスコミの皆さん、よろしく」である。
個人ならともかく、大衆を多かれ少なかれ煽って飯を食っている政治家の態度としてはいかがなものか。

それにいくら、「知らん」などという言い訳をしても、イスラム原理主義の面々には通用しない。
第二弾で、安部晋三夫妻の写真が発信されれば、とんでもない影響を全世界の過激派勢力に与えるだろう。すでに彼らはダウンロード済みのはずだ…。
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2014.8.20
彼が代表と称する「自称:民間軍事会社」のホームページでは、事務所の所在地は、東京湾岸警察署の隣にある豪勢なビルディングになっている。一見すると、何者かから資金援助を受けているようにも見える。しかしその後の報道で、「同社の登記簿上の所在地にあるビル(東京都江東区)には18日午前、報道陣が集まったが、ビルの関係者は「(男性の会社の名前は)登録されていない」と話した。」(時事ドットコム2014/08/18-12:37)

会社概要自体がウソであるとすると、この会社自体が詐欺か、あるいは紛争地域での何らかの不穏な行動をカムフラージュするためのダミー組織の可能性もでてくる。彼は個人ブログに、「来週訪問先やアポイントを取る先をまとめたり資料作ったり。週明けから、自分の仕事で事務所の契約や打合せ、政治団体も立ち上げるのでフル活動!実に仕事は楽しい!」などと書いているが、この軽いノリをみると、突拍子もない謳い文句で資金集めをするある種の悪質商法か、一匹狼の詐欺師だとみる人もいるに違いない。彼の父が、彼の夜逃げや、自殺未遂など、深刻な精神的混迷の事実を明かしている。

彼は戦闘経験もなければ、射撃訓練さえもうけておらず、そもそもアウトドアのスキルもフィールドでの危機管理能力もなさそうだ。そんな若者に金をはらって紛争地帯での警護や戦闘支援を要請する者などいない。それ自体が自殺行為だからだ。事実「代表」が捕虜になって、ジタバタしている。ところが、前述の時事ドットコムの記事によると、彼は「以前、米国や英国から軍事物資を輸入し、自衛隊に納入する仕事に携わっていたという。シリアに入ったのは、3月ごろに続き、2度目とみられる。」とある。
この報道に対し防衛省は敢えて否定をしていないようだ。平気で会社を偽装する人間から軍事物資を受け入れていたのが事実なら深刻な事態だ。

他方、彼は、自身の個人ブログに、ホストクラブの体験話を掲載したり、おもちゃのような写真の断片を兵装だとして披瀝したりで、“ 現地人からボロ携帯を掴まされて腹立つ ”、といった幼稚な書き込みが満載である。旧満洲のスパイへの崇拝も示している。だが、どうみても、日常での生きがいを見出せず、自分を見失った、かわいそうな素人の若者である。もちろん、自力で国際関係にコミットできるレベルではない。

しかし、見逃せないのは、その個人ブログに、「奉祝 12.23天皇陛下誕生日 頑張れ日本!全国行動委員会」参加写真や、かつてシビリアンコントロールを否定した実績を自画自賛する田母神氏との親密写真同氏の演説写真、そして… 安部首相夫妻の写真が、堂々と掲載されていることである。

もちろん個人がどんな思想をもつのも自由である。

だが思想のもたらす影響や効果は、逆に議論の重要な対象である。
一連の思想や、ブログで御真影まがいに掲げられ崇拝されている人物達に惹かれる思想傾向が、若者をこんな哀れな状態にまで陥れてしまう効果を発揮したことだけは事実だ。

こういう現象をうけてか、2チャンネル掲示板などでは、彼の姿を「コントだ」と揶揄する一方で、

  • 続報によると不法入国の可能性も高く、個人の判断ではなく政府与党や元自衛隊幹部が関与してたらとんでもない事になりますねって話だから火消しもこれまで最大級に増えてるって感じじゃねw
  • だったとして、たった一人でシリアまで何しに行ったんだって話
  • 戦闘員として戦っていたか、人材を供給してた? 逆に護衛を買う側の人間だった
    武器を売っていた? これも現地ブローカーから買う方の人間だった 後々の石油利権について話をつける為? 
  • そんな交渉を外注でやらせるのかよ
    こいつの性格からしてそんな大役を任されてたらとっくに吹聴してる
  • 本人が出してる情報からはビジネスの実態が見えてこないんだよ
    それどころか、見れば見るほど「ビジネスなどしていなかった」としか考えられない

等々、議論の的になっている。
確かに商取引の実態は見えない。一方、逆に、政治家諸氏との握手ができることに唯一のアイデンティティを見出したり、それをバッジにしてハッタリトークをかまし、紛争地帯でウロウロしている、孤独な若者の姿もうっすらと見える。
彼の経過だけをまとめると、自衛隊に軍事物資を納入していた経歴を持つ若者が、極右的イデオロギーを振りまく元自衛隊幕僚長ら一連の集団と親密な関係になり、安倍晋三夫妻に強烈なシンパシーをもちながら、一方で、架空の会社をでっち上げて外見を取り繕いながら、同調しそうな仲間を募集しつつ、紛争地域で武装組織と人脈をつくるために激戦地をウロウロしていた。その情報は、当然自慢話の形をとりながら、政治家諸氏にも伝わっていただろう。その矢先、敵方の武装戦闘員としてあっけなく捕獲されてしまった。
そういうところだろうか?

だが、超過激な殺戮を行う「イスラム国」原理主義戦闘組織は、彼の身元をネット等を駆使して調べ上げているのは当然だろう。そして、すでに多くの情報を入手し、その幼児性には多少とまどいながらも、

「日本人が突撃銃をもって義勇兵として中東の紛争に介入してきた。そして彼のバックにはどうも日米同盟を強化しようとやっきになっている日本の現首相と、元自衛隊幕僚長という“大物”がいる」と認識してしまっただろう。たぶん、間違いなく…。

日本の偏狭なナショナリズムを愛好する勢力は、これまで、彼のような青年に排外主義的ナショナリズムを徹底的に吹き込んできたのだろう。だが、その結果の、軽挙妄動で、将来、テロの標的にされるかもしれないのは、彼が護真影のごとく掲げた現首相に一票を投じたとされて責任転嫁される不特定多数の日本国民だ。



湯川遙菜氏の個人的資質はともかく、精神的にさまよう若者や、紛争地帯の殺人やスパイにあこがれるような若者を、威勢のいいマインドコントロールで自らのシンパに育て、いざ問題が大きくなると、一転、捨て駒として扱い、保身に走って平気な精神性が、このやり取りに露出している。

さらに、国際関係を混乱させるアンダーグラウンドな行為に駆り立てる裏工作を、元自衛隊幕僚や企業グループ、政治団体、思想団体等が担ったり煽っていたとしたら、ある種の政治犯罪とも言える。重大な社会問題に発展するだろう。

さらには、こういう若者にとって、田母神氏も安部氏も同じ文脈で崇拝されうる思想潮流であることがはっきりと見て取れる。最終的には共産主義も、政治状況によっては、熱狂する人間を虜にし、全体主義の交互作用を強化する。(先の都知事選でも、田母神陣営と宇都宮陣営を行き来していた若者に危機感をもった市民が多かったようだ。)

いまはやりの、「集団的自衛権」とやらを推し進めれば、このような、他人の不幸な争いや流血を見て、倒錯した情熱をたぎらせる幼い思考をする若者が多数登場することになる。そのような若者が、今回のように「一人ぼっち」ではなく、もっと多くの規模で戦地にウロウロするようになれば、「国民の生命と財産の擁護」という「大義名分」が登場するかもしれない。

それに加え、彼の姿の中に、
第一次大戦の戦場を放浪しながら、暴力の効果に憧れを持ち、さらには共産主義のプロパガンダにも見習いつつ大衆扇動のスキルを身につけ、独裁者の資質を固めた若き日のヒトラーの片鱗を想起する人もいるかもしれない。

なんせ、現在、わが国は、先の侵略戦争への反省も消えかかり、「積極的平和主義」という意味不明の日本語を開発し、年がら年中メディアでリピートさせ、国民各層の意識下に刷り込みながら、歴史の痛み知らず&世間知らずのまま、「大きな声では言わないが」(心ひそかに)戦争(戦闘=実戦)を一度やってみたくてしかたのない人間を、今後、懸命に育成しようとしているのだから。
そして、所詮、大日本帝国時代からしても稚拙で狭い世界観と脆弱な情報解析能力しか持てない島国日本を、今後、想像を絶する野獣のパワーが交錯するグローバル世界に「このままでは普通の国になれんぞ」と国民を脅迫しながら、叩き込んで行こうとしているのだから。

「積極的平和主義」、
それは、おとしどころも何も考えないまま、自らの立場をどんどんややこしくし、いざ血をみそうになると「半分医者、半分写真家」といいながらジタバタもがくような、不幸な若者を増やすことになろう。日本という国自体がジタバタもがくことになろう。血をみたときに初めて、そこに到った全過程を後悔する。それは彼に限らず、職業軍人とて同じことである。ところが、一方で血をみるとカルトのスイッチが入り、いきなり活気付く連中が左右にウジャウジャいるのも大問題だ。

話はそれるが、NHKは多くの良質の番組を制作している。だが戦争に切り込んだとされる、先般放映の自衛隊のルポは、果たして制作側にシビリアンコントロールへの理解があるのか疑問をもってしまう内容だった。曰く「中国からの火器管制レーダ照射という挑発行為による衝突は現場の自衛官の判断で回避された」
それは、違うだろう。火器管制レーダーを照射されたら普通は交戦していいのか?NHKはそういう可能性を肯定しているのか?そうだとしたら、恐ろしくトンチンカンで致命的なメッセージを全国民に送ったことになる。現場で悩む自衛官を見せて誰かの歓心をかおうと考える暇があれば、現代の民主主義国家における軍隊統制の基本をしっかり学習すべきだろう。なにより、あの若い自衛隊員を政治家のおもちゃにさせて、戦場で死なせないための努力は、一般市民の側にあるという強力なメッセージを発信すべきだろう。
はてなマークが沢山つく、迷彩色の「意欲的ルポ」だった。

軍人の血を流させない決意は、日本国民・市民の側の責任として在る。メディアがその地位に安住し、馴れ合いを続け、権力に首を垂れ、プロパガンダに手を貸し、市民がその本来発揮すべき資質を機能させることを忘れ、結果、国民が熱狂すれば、戦争はたやすく起こる。政治家が「これが国民の意思だ、戦え」と言えば軍隊は命令に従う組織である。逆に、「戦わない」と民意が要求しているときに「挑発されたから反撃した」ら、軍人には軍事法廷が待っているだけであり、政治家には「石つぶて」がまっているだけだ。

もちろん「51パーセントの国民の意志か、国民の総意」が表明されても、熱狂のあまり戦闘に突入すれば、さっきまで威勢のよかった上官が真っ先に逃亡したり、こっそりと後方に移動したりするぶったまげた光景をしばしば目撃することになる。後悔しても遅い。そして、最前線の兵士に待っているのは、銃弾と砲弾の破片が飛び交う中、体中をバラバラに切り裂かれて苦しみぬく「阿鼻叫喚の世界」だ。

一握りの利益を求める利己的商売人と、外交能力の欠如した愚かな政治家と、そして「真の愛国者の党」などを声高にして現世の利権をむさぼる大政翼賛勢力が総出で創り上げた「戦場」では、錯乱した軍事組織で下級兵士への拷問ばりの締め付けが行われる一方、個々の兵士の、情けなく哀しく悲惨で醜い、絶えられない死臭を放つ悶死が蔓延する。そして残された家族は、かなりの確率で、「お国のため」と口先だけで煽る世間の片隅で、すさんだ世界に放り出され、時には精神的虐待をうけ、その後、何世代にもわたる心の傷を残すことが多い。

現在米国と英国のマスコミは「イスラム国」のイギリス人らしき戦闘員が、米国人記者への首切り処刑をした映像に衝撃を受け、大騒ぎしている。そのシーンはYouTubeでしばらく流れていたが、20日夜から削除された。その有様は、目撃すると、かなりの人がトラウマを抱えるだろう凄惨なものだ
斬首直前シーン
生きたまま首をナイフで切り裂き、切断した首を死体の上に陳列するという壮絶なもの。(左写真は斬首直前の静止画。冷酷なまでに落ち着いた演説が終わるなり、一瞬のためらいもなく首に手が回され、その直後に処刑が実行された)

安部晋三氏は集団的戦闘権の行使で、こういう野獣のような世界に日本を飛び込ませたいようだ。「軍事的、政治的な一流国家の仲間入り」をするきっかけを作った勇ましい決断力ある首相として、それまでの首相との差別化をして、なんとしてでも歴史に名前を残したいらしい。そのツケ・副作用が国民の流血や戦火につながっても構わないらしい。
そして、更に近い将来、日本国内での報復的な爆弾テロなどが発生した場合、「普通の国」らしく勇ましく「国民の生命と財産を守る」ごっこをしたいものが続々出てくるだろう。…報復への報復、それへの報復、「報復の連鎖」で血をたぎらせるものが加速度的に増えていく。
自分で「国民の安全のために」と称してせっせと将来の「火種」をつくり続け、大火事になると今度は「皆さんのために私が先頭で消してみせます」などという、悪魔のサイクル…。「政治家なんて所詮 “ マッチポンプ ”の生業をしているだけさ」と揶揄されても…、この有様では…的を射ているというしかない)
ご希望通り、名前は残るだろう。日本のその後にテロと戦火という悲劇をもらたした威勢の良い首相として…。

そして、「死人に口なし」…。兵士の死は、国家の英霊・武勇伝として祭り上げられ、兵士たちだけが知る呪いと憤怒は、隠蔽・粉飾され、次の戦闘準備のため、国民への敵愾心の扇動と、「国家にささげる死」への賛美のキャンペーンに利用されるだけである。

BBC MIDDLE EAST   http://www.bbc.com/news/world-middle-east-28867627 
過去の歴史を反省もせず、「集団的自衛権」に陶酔する現内閣のおかげで、
この哀しみにくれる家族の姿が、今後日本でみられることになるかもしれない。

湯川問題に関しては、「世に倦む日々」でも詳しい分析が行われており、おおいに参考になる。
http://critic20.exblog.jp/22512196/