オープン・バイラル系デジタルメディアで世界を席巻しつつある THE HUFFINGTON POST (ハフィントン・ポスト~米国のリベラル系ネットニュース<日本版>※1)が17日、香港民主化デモの写真を大きく掲載した。そのタイトルも「世界は見てるぞ。警察の暴挙を~ 香港デモ。抗議する学生たち 排除する警官たち」 だ。
http://www.huffingtonpost.jp/2014/10/16/hongkong-photo_n_5995236.html?utm_hp_ref=japan
htmlutm_hp_ref=japanいい写真には貴重な情報が膨大につまっている。この市民の真剣なまなざしから、日本人は学ぶことが多いはずだ。
香港市民は、中国政府から何かの成果物を与えてもらおうとしているのではないだろう。たぶん、自分たちの社会は「これでいいのか!」と必死で訴えているのだ。単一のアイデンティティで支配を拡大しようとする古今東西の政体の多かれ少なかれの全体主義的しきたりに心からの疑問をぶつけている。自由と民主主義の原点に迫ろうとしている。
だが、それに最も冷ややかな態度を示しているのが、今の日本だ。米国もEUも中国へ自制を要求している。だが日本だけが黙ったままだ。
チマタでは「どうせ共産党につぶされるよ」とわかった風なコメントがあふれている…。そんなことは現地の香港市民が百も承知だ。問題なのは、中国共産党の独裁を商売上の都合から内心で受け入れている日本人の価値観の方である。政治に哲学が全く欠如したまま、内向きオンリー日本政治のみっともない水準がバレバレだ。
【資料】
392枚の写真 http://www.huffingtonpost.jp/2014/10/09/hong-kong_n_5962500.html?utm_hp_ref=hongkong-protests#slide=start 
15分の現場動画(警察が介入するも逆に市民に包囲され議論が始まる)
http://www.huffingtonpost.jp/jun-hori/umbrella-revolution_b_5972530.html?utm_hp_ref=hongkong-protests  YouTube http://youtu.be/NQCFWenEhgw
HUFFPOSTの香港報道一覧 http://www.huffingtonpost.jp/news/hongkong-protests

【“共産党独裁は続いてもらいたい”  一部日本人のホンネ?】

安部政権は依然として、香港市民デモにはノーコメントだ。一方でしきりに靖国参拝をちらつかせて、中国にフェイントをかけている。中国の民主化にはハナから関心がなく、中国政府の動揺のスキを狙って、靖国繁盛、商売繁盛を突き通そうとしているかのようだ。外国人排斥や過去の軍国日本への回帰趣味だけに熱心な、自己都合型の理念無き日本政治がよく出ている。

先日、寄せられたHNシロクマ氏からのコメント
「中国に基本的人権がないことを、改めて見せつけられています。隣同士の国だから、仲良くしていくべきですが、両国の国民が幸せになる権利はおろそかにしてはいけない。ネットには、

~中国にこれ以上発展してもらいたくないから、これからも共産党政権でいてくれ~

という一部日本人の隠れた本音が至るところに露骨に書かれていて、大変興味深い。
共産党政権という歴史の遺物をどう精算するかがアジアでは深刻なテーマとして問われている。(かつて)ドイツが戦争犯罪と向き合ったような環境づくりへの努力を、内外の腐敗した共産党が支配の口実にするため政治的に利用し、社会に嫌悪感を産み出している。日本では、それをタカ派が逆手にとっている。そういう意味では、日本の民主主義もかつてのドイツのワイマール体制を彷彿とさせており、質的には周回遅れといわざるをえない。

「結論は変わらないが話し合いはする」という香港行政長官の発言は、共産党の習性を端的に表している。香港問題に言及をさけつつ「日中友好」を主張するカビ臭い自称左派勢力も似たもの同士だ。これまでの日本政界のよどんだ構造をよく現した姿だ。中国共産党の独裁により低賃金労働の獲得と環境汚染への免罪を受けてきたことを本音では喜び、中国の民主化は逆にハタ迷惑だと内心で思っている日本の一部の風潮。いずれ跳ね返ってくるだろう。

過去ログ



※1 開設者のアリアナ・ハフィントンの名前に由来。2013年朝日新聞と提携して日本語版が開設された。

朝日新聞デジタル インデックス → 香港、揺れる自治――行政長官選挙