「869人なお症状」… んなわけない。
すでに1170人以上が死亡している。
 本日、朝日新聞/朝刊/社会面トップに「森永ヒ素ミルク事件から60年」との記事が掲載された。 http://www.asahi.com/articles/photo/AS20150621002069.html
 「60年 896人なお症状」 これが事実上のメインタイトルだ。事件の実相を知らされなければ、なにも問題を感じないタイトルだろう。事件をよく知る各方面から疑問が呈されているので、この場で、以下10点についてこの記事への疑問を指摘しておきたい。
             ※厚労省、2013年まで隠蔽   
                  厚労省、被害者名簿紛失事件【資料館声明

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 「管理代行」という狡猾な貧困ビジネス/被害者支配の手法…
被害者・犠牲者の尊厳を毀損する行為…に無頓着の愚

はじめに 
 この記事は「窓口取材」だけで構成された極めて低質なものだ。その取材先が、人権侵害が指摘されている「現・被害者団体」「基金」だけ。それは、わかる人間にはわかる。まるでウィキの引き写しのレベル。イマドキ高校生のレポートでもためらわれるような人権意識の欠落した側からの情報提供に基づく記事だ。むしろ「鵜呑み」したのだと思わせ、実はかなり事前に計画した感がアリアリの企画でもある。
 かつて現・被害者団体が、団体の見解に批判者の意見を同時掲載したことをもって地方紙記者を大阪事務所に呼びつけて室内で恫喝し、ちょうど1ヵ月後に同団体のちょうちん記事を書かせた事件があった。(この団体に有罪判決が下った名誉毀損裁判で証拠提出済み 学者への恫喝、記者への恫喝、親への監視、 P3-P4- まるで秘密警察だ)
 今やほとんどのマスコミが真似さえしたがらないその団体が鼓吹する言説の二番煎じを、今回、朝日新聞が堂々とやったわけである。もちろん精緻な裏づけや傍証への検証、異論の精査をした形跡はみられない。明白な嘘だと指摘されないように細かく工夫されているが、肝心なことを書かずに事件の本質をあいまい化するあざとい手法である。背景に企業の長年の画策があることも押して知るべしだ。ようは人間としての良心の問題だ。




  1. 見出しで896人にしか症状がないかのような誤った印象を世間に流している
    本文にはこの896人は肢体障害と知的障害とちゃっかり限定されているが、
    それ以外は症状とは言わないのか?それ以外の症状は症状といわないつもりか?
    1500人が様々な症状で苦しんでいるかもしれない、3000人に何らかの症状があるかもしれない、いや5000人が自らの何らかの症状に怯えているかもしれないが、我慢しているだけかもしれない…
    …そういう想像力がわかないのだろうか?「869人」で読者にちょっとばかり涙させればそれで良いのか?
    それとも13440人の認定被害者と書き、割り算をさせ、症状をもつ者が6%以下だと国民に印象付けたい者の代行をしたいのか?そういう者たちは、無内容な「調査」結果を事件の本質に疎いメディアに流し、「状況の安定化」をしきりにアピールしてきた。

    公害被害者の痛み、深刻な被差別状況への基本認識があるのか?

    ・そもそも世間からのあらゆる種類の差別を恐れ、自身の症状を会社にも同団体にも知らせない被害者が多数いることぐらいわからないのか?。
    ・そもそも被害者団体の差別的対応を嫌悪して被害者が近寄らないという現実がわからないか?
    ・そもそも一定年齢以降の被害者に露出した症状は後遺症と認めないという方針で後遺症認定がなされていない、という外部からの指摘を精査したか?
    ・「症状有り896人」は死亡に伴って減少の一途を辿るだけの固定的な数字として扱われている点に何の疑問も、持たないのか?
  2. 事件の発生要因に関して「製造工程であやまってヒ素が入った」とゴマカシている
    事件要因が意図的にあいまい化されている。事件を再考する記事なら、同事件の要因くらい詳細に知らせるべきだろう。国民に何の教訓を伝えたいのか? 「被害者に対して、加害企業森永に感謝を要求し」言論弾圧さえ続けてきた、この現・被害者団体の事業広報を代行したいだけなのか?
    それが犠牲者への弔いと、企業犯罪再発防止への教訓になると思うのか?
  3. 「増える単身者への支援」を同団体が真剣に取り組んでいると書く、が
    形式的な相談員さえ撤退させ、被害者を孤立させ、施設入所を家族に仕方なく決断させる仕掛けを陰につくっているとする指摘がある。ジャーナリストならそういう深層をこそ調査取材すべきではないか?
  4. 森永から近年17億支出と書くが、減額され6割程度しか被害者に届いていない
    という指摘をどう認識しているのか?森永が20年間に亘り行った非人道の行い、そして未だに事件の真相を隠そうとメディアを通じて画策している事実をそっくり歴史認識から抹消することで実質森永の悪質な政治的意図にそった展開になっているとは思わないのか?
  5. 「補償に上限があり、今後は行政からの支援が中心となる」という、事実と異なる言説
    を同団体が「関西テレビ」などと一緒にたれ流し、救済が当初の恒久救済対策案とは別物となり、専従者の地位保全と引き換えに犠牲にされる貧困救済だと批判されている現実を問題視しないのか?http://ww3.tiki.ne.jp/~jcn-o/morinaga-hiso-poster-00.pdf
  6. より重症化した被害者への給付を逆に減額するという同団体の差別的取り扱い
    には疑問を持たないのか?
    国の障害者年金が重症者では増額されることを利用しつつ下駄履きさせ、重症化すると「同基金からの支給額を減額し」国年金との「 “合計” 手取り額を10万」程度で我慢させる仕掛け。「それを働かない被害者に多額を支給すると他から文句がでるから」などと公言しつつ合理化する同団体のやり方に疑問も持たないのか?
  7. 6. の横行、1級と2級の頭切りの背景に「障害者は生かさず殺さず管理する」という思想
    根深く確信犯的な差別意識と差別行為があると思わないか?【参考資料 過去の被害者家族の訴訟】http://ww3.tiki.ne.jp/~jcn-o/morinaga-hiso-enokibara-sosyou.htm
  8. 批判する被害者やその家族をヒボウ中傷し組織から追放していく(既にしきった)
    といったスターリン主義的運営手法が裁判等でも問題にされ、市民への誹謗中傷行為で有罪判決も受けている現・被害者団体への窓口取材で公序良俗を満たしているといえるか?
  9. 「事件史の捏造・歪曲を続け、被害者への陰湿な管理支配を続けている」ところの取材対象団体の差別体質は、問題視しないということか?記事化にあたり最低限の調査でもわかるし、すでに記者は十分に知っているはずである。   
  10. 記者の資質・姿勢の問題
    被害と加害の実相に迫り、後世に戒めとして伝えたいのか、それとも情緒的記事で安直に紙面を飾りたいだけなのか?

ひとことでまとめると、
「美辞麗句の裏で行われる差別を許していいのか?!」
ということだ。

以上