市 民

森永ヒ素ミルク中毒事件は、昭和30年(1955年)に日本で発生した、森永乳業の粉ミルクによる乳幼児の大量死亡・被害事件です。 森永は、猛毒のヒ素が混入した産業廃棄物由来の第二燐酸ソーダを、製品が新鮮であるように偽装する目的で赤ちゃん用粉ミルクに添加したため、1万2千名以上の膨大な被害者を生み出し、1年以内に131人の赤ん坊が死亡するという世界最大の食品公害となりました。未だに多くの被害者が理不尽な扱いに苦しみ続けています。

2014年11月

【結果が出る前から、票の正当性を汚してしまう自民党】
今朝の新聞報道で、自民党が東京のテレビキー局全てに「選挙報道を公平中立に」と「お願い」する文書を出していたことがわかった。テレビ放送事業認可の権限をたてにとり、公示を前にテレビ局に対して、こんな事をしでかしてしまった自民党。これでは選挙結果にさえ「公正性」を誇ることが出来なくなってしまった。かなり致命的なフライングだ。

【メディアは公正中立だけがポリシーではない】
そもそも、テレビ局や新聞などのマスコミには三つ程度の重要な理念と一つの習性がある。
1.言論・表現の自由、3.国家権力への監視機能 3.真実性と公正中立性 4.メディアビジネスから来る「オミット」リスク、だ。
公正中立には当然配慮しつつ、独自の編集方針で運営しているのだ。結果、どこの国でも、偶然の近似として、「このマスコミは “与党より“ とか “野党より“」と評される事がある。

【オミットリスクが最大の課題】
一方、マスコミがもっとも警戒すべき陥穽、それが、広告スポンサーとなっている企業の不祥事や、時の政治権力への迎合から生まれる事実へのネガティブな態度=「オミット(除外・無視)」リスク=「書くべきことを書かない」リスクだ。別名「大本営」発表現象は、易きに流れるメディア特有のリスク蓄積の裏返しだ。その害毒は読者・国民をミスリードすることで、権力の不正行為を補完する形で立ち現れる。
業態のそもそもの性格からして、メディアは既に理論的には、公正でもなければ中立でもない。だが、社会的影響力が大きく世論を形成することがあるから、自ら「公正中立」を目指す努力をすると言っているのだ。但し、その場合の「公正中立」とは、もっぱら権力や金銭になびいて、弱い立場にある国民の権利や生活環境を破壊したりする国家権力の手助けをしてしまわないようにという基準からの「公正中立」性の検証であり、今回の自民党の言うものとは全く逆である。
加えてメディアには自分の言いたい方向性というものがある。それは言論・表現の自由というマスコミのもう一つの自由だ。もちろん、あまりに倫理を省き、事実をゆがめ或いは抹殺し、バランスを欠くと後から批判される。その場合、誤りを正し軌道修正が図ればいい。過ちを犯さない個人&組織などないからだ。世論の監視を受けながら、バランシングされてメディア媒体は機能する。政治権力が介入すべきカテゴリーではない。

【もともとメディアの公正中立などに関心のない政権与党】
かつて自民党は、その長期政権下で発生した世界最大の食品公害である森永ヒ素ミルク中毒事件を、マスコミが1955年以来14年間にわたって封殺したことを「公正中立違反」と厳しく叱ったことがあるか? 一度もない。もっぱら企業と政府が金と権力で書かせなかったのだ。この国の政治権力は「マスコミの公正中立性」などにハナから関心など持っていないではないか。歴史的事実から明白なのは、「公正中立」に関心をもつのは、いつも、自党が政権に就くためにマスコミに「ちょうちん持ち」をさせたい時だけである。

【公正中立の前に常識としてある、人道と正義、公序良俗の理念】
仮に、時の政権が戦争に突き進んでいるとき、「戦争はよくないという意見もあるけど…いやいや、戦争も結構いいよね」と、玉虫色の主張を聞かせる事を公正中立と言うか? 公正中立の前には、「戦争や殺人は避けるべき」という公序良俗の通念がある。この通念に反して金儲けや特殊イデオロギーで戦争や全体主義に向かう政治が現れてきた場合、これを批判することは正義である。時の政権政党がいう「公正中立」に反して、過去に確かに選挙で選ばれたはずの時の政権を批判しなければ、正義が失われてしまうことはしょっちゅう有る。さらに言えば、正義の名によって組織暴力が実行されようとする場合(戦争など端的な例)、その殆どの場合、前提には情報操作がある。その場合は、カウンターオピニオンとして、公正中立よりも、倫理観や常識的感覚や人道主義を道しるべとして軌道修正が行われなければならない。その場合、公正中立性の検証は、時の政権政党自体に向けられるべきであり、その政党の政治生活全体が公正性の目によって、きびしく再検証される必要性がある。
自民党が政権政党の立場をカサにきて、許認可事業者であるテレビ局に「公正中立にやれ」という時は、だいたい与党批判の声を抑えて時の政府に有利になるように報道しろ、という権力づくの恫喝要求だ。
さすが、「国営放送ではなく、公共放送である」と自称するNHKに、ためらいもなく政治圧力をかけた安部政権だ。

【自分から党利党略に走り、公正さを放棄し、言論統制を企図する不正】
「公正中立」という、もともと自分らが守ってもいない倫理基準を、慇懃無礼にお願い文書という形で送達する。実にいやらしい。言論の自由や権力監視機能がマスコミには必須であるという、文明国のセンス自体を喪失した政権与党の、危ない思考回路が明らかだ。
観劇ツアー、ウチワ、SMバーへの政治活動費、ヘイトスピーチ在特会との蜜月…公正性を政権与党から欠落させてきた。
それに、だいたい、国民の殆どが支持しない解散という愚挙をしていること自体、もう政権そのものが公正さを失っているといえる。党利党略に走り、公正さを失った政権与党がマスコミに「思い立ったように公正さを要求する」こと自体、「政権与党へ有利なバイアスをかけた報道」を要求する「不公正」な姿であると言えるのではないか。



【以下、安部政権関連記事】
















【長野県北部で震度六弱、断層帯動く】
23日 0時20分 コメント№20再掲】
22日、22時08分、長野県北部で震度6弱の激しい揺れが観測された。深夜にもかかわらず鉄塔倒壊などの被害が報告されはじめている。余震への警戒と、迅速な救援が必要で有ることは言うまでもない。
この地震では、糸魚川-静岡構造線(巨大断層帯)が関与している可能性が指摘されている。
(23日になり「神城断層」の挙動が特定された)
既に以下の当ブログ記事でも指摘したが、先般噴火した御嶽山は中央構造線と糸魚川-静岡構造線との交点付近であり、個人的に非常に気になっていたところだ。
御嶽山噴火の折に、フォッサマグナ、糸魚川-静岡構造線に警鐘を鳴らす地震学者は絶無だった。
http://morinaga-hiso.blog.jp/archives/1010103293.html
列島の地殻変動の活発化は以前から指摘されている事であるのだが...。

【地震被害を極大化し、救援活動まで妨害する原発と使用済み核燃料は速やかに撤去を】
今回の問題でとりわけ気になったのは、新潟県の東京電力・柏崎刈羽原発の2.3.4.6号機の使用済み核燃料プールだ。この核燃料プールは22日深夜、一時水位異常を示し、警報が鳴った 。
中越沖地震の際はこの冷却プールの水が地震動で外部にあふれ出ている。使用済み核燃料が莫大な放射性物質を抱えており、その冷却水を喪失すると、列島全体に壊滅的影響をもたらす。このことは2011年3月18日時点で、既に以下で触れている。だが、あの福島の悲劇から何も学ばず、未だに対策など全く採っていないようだ。これもまた、安部政権の実態だ。以下ご参照

【森永ヒ素ミルク中毒事件資料館 2011.3.18コメント】
東京電力 福島第一原発事故~巨大地震に併発する原子力災害に関して-原発震災という視点-
http://ww3.tiki.ne.jp/~jcn-o/morinaga-hiso-kakujiko01.htm
3月18日時点での資料館のコメント 「すべての英知を救援と復興へ」
…前略…
 使用済み核燃料に関しても、それがいかに脆弱なシステムに依存するかは、すでに経験済みである。
 最近でも、前述の柏崎刈羽原発(BWR)では、2007年7月に発生した「新潟県中越沖地震」で、使用済み核燃料保管プールから放射性物質を含む水が地震動によってあふれ、建物外へ漏洩した。同プールからの水漏れ事故は同原発の全号機で発生したところの重大事故である。また同事故では、点検中の原子炉建屋でも亀裂による放射能漏れ事故が発生している。点検中で停止中でも巨大地震の場合は危機的状況になりうるのである。同プールは簡単に冷却水がなくなりうる施設である。
 どうも、一部の向きは、これら事故のこともすっかりお忘れになっていたようだ。負の歴史を風化させ教訓を真剣に学ばないことに関して、わが国は天才的である、というと少し言いすぎだろうか?
…(後略)…

原発は停止していても格納容器上方に位置するプールで莫大な量の使用済み核燃料が冷却され続けている。地震災害を強大化し、おまけに復旧支援活動を妨げる大事故に繋がりかねない厄介な存在だ。原発の再稼働中止はもとより、全原発から使用済み核燃料を速やかに撤去する事も必要だろう。
日本の多くの原発が「断層は動くことはない」などと強弁しつつ、活断層の真上や周辺に無警戒に建っている。早急かつ真剣な対策が必要だ。株高で投資ギャンブラーの人気取りに走る安部政権は、地震リスクなど全くどこ吹く風と言わんばかりに、原発再稼動をごり押ししている。

【以下、安部政権関連記事】


















【ちまたの声~「バカヤロウ解散」…その正体】
解散を決めた安倍首相は「アベノミクスを批判するんなら何か代案を出してみろ」と言ったり、メディアに出かけていって、公然と毒付きはじめているようだ。自分からNHKへの介入操作をしておきながら、解散を批判するメディアに登場して、VTRで流される「国民の声」に噛み付く。この方、少々精神状態がおかしい。全員から褒めてもらい、大政翼賛してもらわないと気がすまない、とっちゃん坊や的な性格のようだ。http://news.livedoor.com/article/detail/9487062/
そう...、文句だけをいう権利もあるし、文句があるのなら代案を出せ、という権利もある。野党なら他党の政策を批判する場合、実現可能で現状より優れた代案を具体的に提出するべきだろう。だが、首相が国民の意見にいちいち噛み付くなど、異常だ。
どちらにしても、このタイミングのこの言動、明らかに安倍晋三氏の「思考回路」はおかしい。
「代案を出せ」とは本来、国会で野党にいうべきことだ。そのために国会があり、有識者懇談会なども開催し、膨大な税金を消費している。事実、増税延期という「誰かの代案」を自分で採用しているではないか。アベノミクスの修正を自分で実行しているのだから、本来なら、引き続き説明責任を果たしながら修正を実行すればいいだけの話だ。それを自らストップしたということは、事実上の「政権放り出し」である。病んでいる。

【マタ出た! 首相の “逆ギレ気質“ に翻弄される日本】
この首相個人に特有の「逆ギレ気質」「超権力志向」から来る短絡行動…。
2007年9月12日、二日前の9月10日に国会で所信表明演説を行ったばかりの安部氏がいきなり首相と総裁の両方を辞任すると会見した時には、すべての国民が仰天した。「体調」を理由にしているが、実際は違う事など言うまでもない。そんな超無責任な辞め方をした首相が、飽きもせずもう一回首相をやるところに資質としての無節操な権力志向が見えるし、同時にこんな無節操を許すこの国の体質も、相当おめでたい。今もって旧軍の無責任体質を引き継いでいるとも言える風土だ。
あの投げ出し会見をテレビで見た人の多くの脳裏には、今再び、「この人、またもや政権を投げ出したんじゃないの?」との疑惑が想起されている事だろう。こういう短絡キャラの政治家が、集団的自衛権を口にしていること自体が実に危険である。奉仕活動なら嫌ならすぐにやめればいい。だが仮にも一国の首相だ。あなた、これで飯を食ってるんでしょうが...。もう恥の上塗りはやめましょう。

【本来、必要のない “解散“ を今やるのは?】
そもそも、来年秋に予定していた2度目の消費増税を先送りすることを安部氏が自分で決定したなら、もはやその点では野党と大して争点がない。それでも増税が云々と言い、「信を問う」などと言いつつ解散するというのは、実のところ、「政権投げ出し」の糊塗策ではないのか? 首相個人の「二度目の政権投げ出し」の「予兆」を察して、与党の取り巻きが手前味噌な理由がつく時期におさめただけかもしれない。後釜を狙っている人間はわんさといるから、安部首相のご乱心と心中するつもりもないだろう。或いは、旗色が悪くなり投げ出したくなったが「またか」と言われるのも嫌で、先を見越して首相自身が術策を巡らしたか…。だが、いずれにしても短絡的である。後からついて来た「与党の選挙戦略論」は、更に利己的な党利党略だ。まともな神経では理解不能で、「馬鹿野郎解散だ」とチマタで言われるのも当然だ。おそらく「二度目のご乱心」を、与党の破局につなげたくないという苦肉の策が、年末のクソ忙しいときに強行される解散選挙だ。真冬の寒い中、投票所に行くのは、投信や株の価格が下がっては困るアベノミクスの支持者が相対的に多くなるのではないか、という、いやらしいほどの胸算用もあるかもしれない。まさに国民をシラケさせれば、シラケさせるほど、それだけ与党に有利になるという「先読み解散」である。

【信を問う、というより、国民に踏み絵を踏ませるイヤらしい発想】
一応、「綺麗に」党利党略論を語れば、次のようになるのかもしれない。
安部氏は実は崖っぷちに居る。今解散しないと、来年秋の自民総裁選で脱落する可能性が高い。なぜなら、来年4月には統一地方選がある。統一地方選の後はそうでなくても地方議員が疲弊し、更には地方選で旗色の悪い自民党が衰退イメージを露出させる可能性が高い。再来年には参院選挙があり、そこにぶつかると二つの選挙となる。来年2015年に与党は集団的自衛権の関連法案を狙っているが、その後の選挙はもはや安心できない。それに、あと半年から1年の間に日本経済が更に大きく失速する可能性も少なくない。19日に公表されたFOMC議事録では日本景気の下振れリスクの高まりが指摘されている。今後仮に景気減速感が強まれば、因果関係が明白となり、与党にとっては最悪な条件となる。
要するに、政権維持のためには、株高に喜んでいる層(いつ経済失速で敵になるかわからない層)が残存しているウチに票を頂いておこう、という算段だ。彼らがいつ破産しても所詮、自己責任だ。
ただ、どうまとめても、「美しくない」政治家の利己的姿しか見えてこない。

【日本経済より軍事を優先している安部政権】
それでも与党が、首相のご乱心を糊塗したいのなら、「増税」云々とごまかさず、以下のように政治目的を説明すべきだろう。
「本当の目的は、来年以降の集団的自衛権の関連法案の強行という天王山です。それが  “戦後レジュームの克服”  を掲げる安倍政権の戦略的政治目的です。株高はそれを完遂するため、中間層以上の小金持ちの票をこっそり頂く手段でしかありません。では、なぜ集団的自衛権か? それをやらないと安倍晋三の名前は後世に残りません。しかしそれは安部首相個人の事情です。それ以上に、この “ 軍事的積極政策 ”  はいったん下野した我が党が再浮上する上での死活的政策イメージです。別に誰かが望んでいるという類のものでもありませんが…。いや、大変ありがたい事に、野党の一部が、“米国追従路線“ と、勝手に説明をつけてくれて、わが党の説明を省いてくれています。そして国民に反米民族主義的なプロパガンダの代行をも、してくれています。ですが実はというと…、我が党の必要に応じて創り上げただけの政策です。“国の誇り”とか“愛国”という言葉に熱狂する人の使い勝手の良さを我が党は一番よく知っています。そのまんま言うとまずいので、言葉を入れ替えて “ 積極的平和主義 ” という新語を発明しました。我が党がそれを完遂したら後は自然に日本人に火の粉が舞い落ちる時代になります。例えば、災害救助で助けてくれる自衛隊員が、中東まで出かけていって、ISISみたいなのに首切り処刑でもされたら、みなさん黙っておれないでしょ? そうなれば、かつてのブッシュ政権時のように国民の方から進んで “復讐や報復を唱える” タカ派政党のプロパガンダを支持するようになりますから...とくに努力しなくても簡単に政権獲得のチャンスが巡ってきます。我が党にとっては実に楽な時代の到来です」
 
【テレビに出て、有権者に噛み付く総理】
こういった、「決して他人様には言えない政治目的」を隠したい気持ちはよくわかる。が、そのために、「経済の代案出してみろ」などと公言し始めるなら、国会なぞモトから要らないという類の言説を首相が口にしていることになる。同時に、それは有権者である国民に向かって挑発的に「ふみ絵」を要求している姿でもある。

この時点で首相の資質としては失格だ。だが、失格政権を再選することに結果的に手を貸すことになる民主党他の野党の危機管理能力の無さもまた、呆れるほどの罪である。「やれるもんなやって見なさい」「安部さんの政策は古いんです」「暴走ストップ」などと抽象的なことばかり言って虚勢をはっている場合ではない。次は絶対に4年くらい続く政権を目指すという覚悟が野党にあるのか? 洗練された仕事師にならないと、野党もまた、議員報酬を浪費しながら国会に居座る「ゴク潰し」とのそしりを免れない事になる。

【実質GDP二期連続マイナス】
本日17日、実質GDPの速報値でマイナス1.6%という深刻なデータが出た。当初、エコノミストの予想値はプラス2%台だったが、どう目をこすって見ても、頭にマイナス記号がついている。
補正予算も効果なし。黒田バズーカも効果なし。日銀総裁を意のままに操って炸裂させた異次元緩和で日経平均を17000円台まで誘導しても「好循環」など生まれるわけがない。GPIFのポートフォリオ組み換え期待も、株高には寄与しても経済成長では完全に空振りだ。
マイナス成長値は、この間の経済政策が大きく失敗しているということだ。米国で効果が終了したQEを猿まねしただけの金融政策、そのイミティブイミテーション(他人を真似てコピー商品をつくるだけの愚策)の実態は当初からわかりきっていたことだ。http://morinaga-hiso.blog.jp/archives/1011181384.html

経済が失速し、墜落寸前のアラームがコックピットに大音量で鳴っている。首相は「美しい国」を声高にしたが、実際には格差がはびこり、金持ちへの媚びへつらいを煽る奴隷根性が蔓延する「醜い国」を作りつつある。

【アベノミクスの根本的イデオロギー、乞食根性煽る「トリクルダウン理論」】
「資産効果が経済を活性化することは多くの経済学者が指摘しているところです 」
安部首相は国会にて、先般もこう答弁をしていた。その「学説」とは何か?

「あなたの生活は当面よくならないけれども、お金持ちからお小遣いを恵んでもらったら、少し財布の中身が暖かくなるかもよ。」

もし、こういう期待感を煽られたら、ムッとする人も多いだろう。だが、一方で、それでも良いからお金頂戴、っていう人も多いだろう。

アベノミクスのイデオロギー的核心は後者のような「座しておこぼれを待つ期待型人間」をターゲットとした「トリクルダウン(滴り落ちる)」という「理論」だ。この説は、人間の安直で浅ましい思考方法に依拠しているので、一定の支持者を得ることができ、影響力を持ち得る。「貧乏人は金持ちにすがれ」というチマタに多い奴隷根性&拝金主義者の支持を手っ取り早く取り付けることができるのだ。トリクルダウン理論という学説をでっちあげてしまったM・フリードマンについては、政治的プロパガンダの類にすぎず、という厳しい批判がある。

【根拠無く、破綻が証明済みの詭弁】
おまけに、この
「トリクルダウン理論」、英国サッチャー政権の時代にすでに破綻が明らかとなっている。その、「投機を煽り、金持ちをより豊かにすれば、金持ちからビンボー人へお金が流れる」というトンデモ「学説」が、いまだに日本では国家の経済政策を決定する根本思想として機能しているのだから驚きだ。

この「学説」は、金持ちが金を使うとビンボー人に何周かして回ってくる、などと主張する。“ビンボー人は、金持ちの消費のおかげをうけて、少しリッチになる、だからビンボー人はずっと我慢しつづけて、金持ちが、“より金持ちになる“ことを待ち望まなければならない...”

【格差“意識”を拡大する金融政策】
こういう考え方で、朝から晩までメディアを総動員して、「株が上がった」と大喜びしてみせ、金持ち優遇策の正当化が展開されるのだから、そりゃ庶民や若年層には、会社で人よりもがんばって新しいアイディアやビジネスシーズや富を作り出そうなどという意欲はどんどん低下していくだろう。そういう芽が出ても上司が潰していくことも頻繁に起こる。
トリクルダウン理論は、「富は、人間が新しく作り出すものではなく、金融機関や行政が政策として作り出してくれる」という巨大な幻想だ。「金持ちが株で儲けて貧乏人の財布を暖めてくれる」というのだから、なんともお手軽&お気楽な思考方法だ。この理論では、資産家以外の人間の出る幕はなくなる。このイデオロギーで割り切っていくのなら、かつて、村上ファンドなどを叩く必要もなかったはずだ。いつから日本は、バブル時代のイデオロギーに舞い戻ったのだろうか?
そう、この2年くらいで “アッという間に” である。片棒を担いだメディアの責任は大きいが、メディアが大政翼賛すると、たった数年で国民の思考様式を変容せしめることができるという負の教訓があらわになった。

【政治家や官僚が経済を活性化できるか?】
アベノミクスは、一見、新自由主義で経済を論じながら、一方で大きな政府論を礼賛する無節操的折衷案だ。もちろん、実際のアウトプットは一時的な株高だけだ。
だいたい、企業組織で働いた経験をほとんど持たない(世間で普通に働く能力を持たない)議員は、企業のヒトにあたる部分の開発につなげる人材育成の重要性などを長期戦略で描く素養自体に欠けている。というか…、もともと無い。
政権交替が発生し、短期政権を経験し始めた日本が、長期的な産業政策から縁遠くなっているのも事実だ。だが、それら政治家が、利己的利害のために国民の人気取りと、それ以前の“国民を煙に巻く”プロパガンダで世渡りをしようと心に決めたら、もう実質的な亡国政治となる。
人材以外に富を生み出すものは存在しないという原理原則を忘れ、リストラと金融操作という、強者の都合優先の “権力支配優先の政治” を始めれば、生きた人間が構成する社会は悲鳴を上げるだけだ。
いくらメディアで景気の良い話を煽られても、国民は、財布の紐を閉めなくては一寸先に地獄が待っていることを一番よく知っている。サバイバル途上の国民経済の内需を簡単に拡大できるわけがない。それに、円安誘導の初頭から分かりきっているコストインフレの恐怖が忍び寄っている。
官僚主導で、財政のムダを洗い出さず、税金を垂れ流す非効率的なセクターの見直しをやめた政党政治家。国民の税金を消費して、何期か務めたら議員年金で一生が保障されるから先の憂いなど考えたこともない政治屋さんには到底理解できない実体経済の難しい世界だ。

【金持ちが寿司を食うと、庶民が潤う???】
しかし未だにメディアでは経済評論家がトリクルダウンをしつこく語り続けている。視聴者にはそれをさとられないように、巧妙に偽装している。黒田バズーカで日経平均が17000円を超えたとき、ある評論家は、景気の良いトーンを利用しつつ言葉の端で「資産効果」を口にし、「お金持ちが株で儲けるとお寿司屋さんなんかに行くでしょう、そうやってですね~...ムニャムニャ」という。局側にはもちろん「資産効果」への疑いの目などない。そもそもメディア側が「資産効果」なるものを客観的事実だと思い込んでいる。
こういった調子で、この2年間、庶民の脳みそに、「お金持ちがよりお金持ちになって、お金を落としてくれるのを待ちましょう」と上から目線の説教を注入してきた結果が、コレだ。

だがイマドキ、例え話が寿司屋? この評論家の世間知らず度合いがモロばれという感じだ。お茶の間の庶民はこの程度の話で騙せると思っている。もはや詐欺師の一種だ。
ごく一部の金持ちが株で儲けて、家族全員と親戚まで連れて一席10万円くらいの超高級寿司屋(というコトにしてあげよう)に毎日出掛けて行くだろうか。いまどきそんなバブリーな輩など殆どいない。資産の含み損がもどっても、その戻った分をそっくり消費に回す人間などいない。そもそも、含みとは、もとから実際の消費行動に回さない帳簿上の資産の多寡である。
金融商品で少し利益が出たからといって、まだ使える車を廃車にして、新車に乗り換える人間がどれほどいるだろうか? そういうケーススタディは、他人を騙して金を巻き上げて詐欺する輩には都合のよい屁理屈だが、とても社会科学の世界の話ではない。まともな資産家は、少し損失がもどったとしたら、それが分かった日だけ、こっそり、すき焼きを食う位だ。

世にある資産家への都市伝説にも似た誤解。トリクルダウンは、そういった大きな勘違いを悪用したプロパガンダだ。「資産家はきっと羽振りが良いに違いない」と思い込んでいる世間知らずの営業マンの成績が一向にあがらないのは、こういう俗説を真に受けているからだ。

【税金にたかって党生活を延命するマルクス主義系団体も同類】
一方で、「資本家権力の本質は、武力装置と徴税権だ」、とサークル内部で大風をふかす自称マルクス主義者も、なんだかんだと言いながら、実際の「民主団体」での生業では、行政にどっぷり取り入って、国民の税金や医療保険にタカり、党員生活のための「しのぎ」=貧困ビジネスを展開している。「増税不況」と毎度ピントはずれな批判に終始している彼ら自身が、大きな政府のおこぼれに群がる、トリクルダウンの実践者だ。かつて保革共同で生まれた知事が、大盤振る舞いで巨大な負債を後世に遺した事実を忘れることはできない。

トリクルダウン、滴り落ちる。要するに、「ビンボー人は金持ちの消費のおこぼれにスガれ」という御宣託だ。国民に奴隷根性を植え付け、パンと見世物を要求させて、市民を従属的臣民として管理支配を行ったローマ帝国末期の光景が蘇る。米国が格差社会になり、歪んだ社会意識を蔓延させ、犯罪が増加したのも、このような御用プロパガンダのおかげである。

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