市 民

森永ヒ素ミルク中毒事件は、昭和30年(1955年)に日本で発生した、森永乳業の粉ミルクによる乳幼児の大量死亡・被害事件です。 森永は、猛毒のヒ素が混入した産業廃棄物由来の第二燐酸ソーダを、製品が新鮮であるように偽装する目的で赤ちゃん用粉ミルクに添加したため、1万2千名以上の膨大な被害者を生み出し、1年以内に131人の赤ん坊が死亡するという世界最大の食品公害となりました。未だに多くの被害者が理不尽な扱いに苦しみ続けています。

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「…封印され廃棄処分を命ぜられた筈の毒ミルク60万缶が何時の間にか売り捌かれ東京ではそれが闇に流れていると噂されている。…」
(岡崎哲夫著「森永ミルク事件史」-1957年-144頁)

この件について、以下のコメントが寄せられた。

─猛毒「森永ヒ素ミルク」をニワトリの餌に混ぜ、
 全国民にコッソリ食わせた「闇」の詳細が明るみに─


44. MF5808 2015年11月18日 09:13(多少文書を整理した)(※1)
 ここに書かれていることは、重大問題を含んでいることをまず理解していただきたい。
 1955年の事件発生直後のこと、岡大医学部へ持ちこまれた「ヒ素入りミルク」の疑いのあるMF、MC、MLの三種、それぞれ製造月日の異なるものを法医学教室で分析をした。分析したロット番号順に一覧表が『岡山県における粉乳砒素中毒症発生記録』(昭和32年10月岡山県発行)に掲載されている。
 厚生省は事件発生直後には、ヒ素含有ミルクは廃棄処分にすると新聞発表している。ところがその後方針を180度変更する。実験の結果が良好なら、育雛飼料(※2)として利用する方針になった。
 実験に使われた「有毒ミルク」がMF5808ということである(※3)。ところが、このロット番号は岡大医学部法医学教室の分析表には登場しない。前掲書の巻末の一覧表のどこにもない、いや本全体のどこにもない。
  その「MF5808」を使って育雛実験をしたということが、もしかしたらもともと「無毒缶」ではなかったかという疑問を「記録マニア」氏(下記)は述べておられると読みとれる。
 192羽の実験で1羽の死亡という「好結果」であったことが、MF5808は「無毒缶」との疑いを強くする。普通ニワトリを飼育していても1羽くらいは死ぬものだ。ワザワザヒ素の入っているミルクをエサに混ぜて育てて、1羽しか死なないというのが、そもそもマユツバものではないか。
 見せかけ上の実験で好結果をのこし、実際の飼料製造には本物の「有毒ミルク」を混ぜて作ったのだ。その結果は各地でヒナの大量死を招いた(※4)
 だが、飼料のなかに「ヒ素ミルク」が混ぜてあることなど農家は知らなかったので、天候のせいにしたり、他の理由にして深く追及しなかった。このことを書いたのは14年経った後に「婦民新聞」など少数。マスコミは無視したので、うやむやにしてしまった。

(註)
※1  「MF5808」氏 の投稿コメント
 記事 「多国籍企業シェルが開発した「相互秘密保持契約」 森永ヒ素ミルク中毒・被害者への支配構図、米国でコピー登場http://morinaga-hiso.blog.jp/archives/1033260039.html#comments 
へ寄稿されたペンネーム「MF5808」氏のコメント
※2 育雛飼料
 ひな鳥のえさ。実際に「F印 育雛用飼料」の商品名で販売された。出典: 『岡山県における粉乳砒素中毒症発生記録』(昭和32年10月1日岡山県発行)
 昭和30年8月28日付山陽新聞一面記事
 「…同省木村次官、紅露政務次官、山口公衆局長、楠本環境衛生局長らは同日午後の徳島工場にたいする行政問題を協議した結果同工場製品のうち、何月から何月までのものが有毒なのか、また調査の結果、これが同工場の過失か不可抗力かのいずれによるものかを判定したうえで、何らかの措置をとることにし、回収したMF製品のうち国立衛生研究所が有毒と認めた製造期間内のものに限って廃棄処分の手段をとることを決めた。」
 なお最近、一市民が、「MF製品のうち国立衛生研究所が有毒と認めた製造期間内」の検査の有無を国立衛生研究所へ問い合わせたところ、以下の回答であった。
 「(国立衛生研究所宛てに)直接メールを出しましたら、HPがあるからと教えられ、そこへアクセスしましたら、昭和30年頃の研究項目が並んでいました。その研究のなかに、岡山大学医学部から死亡被害児の肝臓の一部を提供され、それから砒素を検出したという内容が記述されていました。それは簡単なものでしたが、それ以外には砒素ミルクに関する研究はありませんでした。 」(記録マニア氏2015年11月30日寄稿)
 廃棄するとして回収された莫大な量の森永砒素ミルク缶は、「MF5808」ただ一缶だけの供試で「ニワトリのヒナに与えてもさして問題なし」とされ、大規模に再流通されることになった。
 浜本英次教授編纂の上掲書『岡山県における粉乳砒素中毒症発生記録』(表紙が赤いので、当時「赤本」と呼称された)のなかでは、さも科学的な根拠を得たかのように表現されている。
 この飼料の売上金、当時の価格にして約1千万円(現在価値は1億円を越える)が、「森永奉仕会」の設立資金として流用された。回収した東京都が製造を促したと思われる。この「森永奉仕会」の事業目的は、全国の国公立・私立大学へ森永乳業のカネを「研究資金」の名目でばら撒くことだ。このカネは、(1955年から1968年までの)被害者救済運動の存在を国民の目から隠蔽し弾圧するため、御用研究者への実質的な買収資金として活用された。この基金は今も厚労省所管の財団法人として存続しており、「森永乳業に奉仕する研究者」を育成し続けている。現在の「寄付講座」や「産官学協同」の悪質な側面を生み出した端緒ともいえる。
 なお、故・岡崎哲夫氏は岡山県衛生部に「赤本」を請求したが、岡山県は「(被害児)救済運動を中止するなら渡してもいい」などという発言を行った。このような偽装に基づく不正行為がバレることも大いに恐れたと思われる。岡崎氏は迂回経由で「赤本」を手に入れ、その内容を「事件史」で告発したが、既にメディアは一切の沈黙を決め込んでいた。全国民の体内への、ニワトリを通じた砒素ミルク摂取も同じく隠蔽されてしまった。直接的には東京都の手によるものだが、森永乳業と厚生省と御用医師グループ、それに追随・安住するメディアの結託がベースにあったことはいうまでもない。
※3 実験に使われた「有毒ミルク」がMF5808
 『岡山県における粉乳砒素中毒症発生記録』(昭和32年10月1日岡山県発行)の297P<「(26)森永MF印よにる(ママ)鶏雛の飼養実験について」1供試飼料>、同じく298P掲載<供試粉乳 森永粉乳MF5808 砒素含有量22ppm >(※1へのcoment 46. 「MF5808」氏 2015年11月29日 08:27)
※4 ヒナの大量死を招いた
森永告発機関紙『森永告発』第6号(1971年10月1日)
「砒素中毒は赤ちゃんだけではなかった 砒素ミルク飼料でニワトリも?……」
 岡山県勝田郡奈義町宮内の内藤勝野さんのお宅では昭和31年から32年にかけて、奈義町農協から育雛用の飼料を買ってニワトリを育てていましたが、飼っていた20羽が全部死んでしまいました。近所にもそういう家が多かったということです。死んだニワトリは、肝臓が異常に肥大しているなど、砒素ミルクの被害児の症状によく似ていたが、当時、砒素ミルクがニワトリの飼料になったことなど全く知らず、不審には思いましたが、天候のせいだろうと片付けていました。
 最近になって、料理講習会があったとき、その講師が、毎日新聞の「黒いミルク」記事を引用して「森永はひどい。毒ミルクを養鶏のエサにした」と言ったことから、当時の記憶がよみがえって来ました。
 32年~36年当時、奈義町農協の組合長をしていた船曳澄衛さんの話によると、その飼料は全購連から買ったということです。
 昭和32年に岡山県が発行した『岡山県における粉乳砒素中毒症発生記録』によると、「有毒粉乳」の配布先として全購連の名もあり(301ページ)それらのニワトリが砒素ミルクの犠牲者であることは、ほぼ間違いありません。
 当時の処理缶数は約45万缶、従って全国的にはかなり多く出回っていたはずであり、同じような被害は他にも多くあったでしょう。また、それらのニワトリが産んだ卵や鶏肉を食べた人間も多いはず。それらの人々はほんとうに無事だったのでしょうか。ひょっとするとあなたも……? (以上全文引用)
 (※1へのcoment 47及び50、「三百代言」氏 2015年11月29-30日)

【事件解説ポスター 7頁 現在も存続中の「森永奉仕会」設立の経緯を参照】
http://ww3.tiki.ne.jp/~jcn-o/morinaga-hiso-poster-00.pdf


【参考資料】
43. 記録マニア  2015年08月17日 17:20
http://morinaga-hiso.blog.jp/archives/1033260039.html#comments
「お母さんはねえ、坊やの疑問にこたえるために、MF5808がどこへいったのか、探しているのよ。それでね、いちばんいきそうな心当たりをさがしたわ」「お母さんMF5808はどこにあったの」「国立衛生研究所があやしいとにらんだの、ホームページからさがしたわ」「そうしたらどうなったの」「国立衛生研究所では昭和31年にヒ素ミルクに関する研究をしていることがわかったの。でもね、それは死んだ赤ちゃんの肝臓の一部を岡大医学部から送って貰い、その中のヒ素検出をしただけなの」「赤ちゃんかわいそう」「ヒ素入りミルクの分析実験はやってはいないことがわかったの」「おかあさん、MF5808はどこからきたのでしょうかねえ?」

「森永ミルク事件史」は以下からダウンロードできる。
〔※森永告発の「砒素ミルク2」(1973)は「森永ミルク事件史」(1957)復刻版〕
http://ww3.tiki.ne.jp/~jcn-o/morinaga-hiso-book-hisomilk2-1pdf.PDF (上巻)
http://ww3.tiki.ne.jp/~jcn-o/morinaga-hiso-book-hisomilk2-2pdf.PDF (下巻)

出典:森永ヒ素ミルク中毒事件資料館アーカイブス
http://ww3.tiki.ne.jp/~jcn-o/morinaga-hiso-jiken-no-jissou-syousai-hm1.htm

森永ヒ素ミルク中毒・被害者への支配構図、米国でコピー登場 -投稿-
【参考】NHK BSドキュメンタリー「シリーズ真実を求めて シェールガス開発がもたらすもの」2015.3.10放映

オバマ大統領が「米国の今後百年間のエネルギー消費をまかなう(実際は根拠薄弱)」と、はしゃいで見せたシェールガス。 「地下に埋蔵されたガス田から、60年間のノウハウが蓄積された…」と科学者が口をそろえて「安全宣言」を出す工法で採掘されているらしい。
だが、実際は「蓄積」どころか、ころころと変わり、安全性が不明な「新工法=水圧破砕」が実施されている。
今では、有毒な化学物質を莫大な規模で地中に注入する極めて危険な技術を実行。その際、化学物質が地下水を汚染したり、気化した有毒ガスが地上に噴出したりして、周辺住民の飲料水や、空気を汚染する。住民の水道の蛇口からは「真っ黒な水」が出る。コップに貯めると土色ではない「ブラック」の泥濘状のものがたっぷり混ざっている。汚染物質の中には、有史以来もっとも発ガン性の高い化学物質も含まれ、産業廃棄物は化学式が不明なほど異様なものだ。

「真っ黒な水」に「安全宣言」が出されるワケ

で、ここからが、問題だ。
汚染され健康被害を受けた住民が最初に訴える先は、だいたい原因企業。すると、まず汚染元の原因企業がやってきて、生活環境改善のためのきれいな水を貯めるタンクなどの設備を与える。つまり原因企業が、“それは大変だね私たちが対策をしてあげよう” と 「被害救済の措置を講ずる」のだ。
その際、住民は「相互秘密保持契約」という書面にサインを求められる。目先の「救済策」に安堵した多くの住民が契約書にサインしてしまう。
ところが、この契約には、「あなたは救済を受けるのだから今後一切、外部には被害の実態を話したり企業の告発をしたりしません」という「双務的義務」を被害住民の側に背負わせる内容が盛り込まれている。
南ア在住の女性ディレクターは、告発をした被害者を訪ねて、はるばる米国へと飛ぶ。だが告発者は現地から行方不明。電話をすると「その件には一切答えられない」「少なくともいえることはわたしの人生が変わってしまった、ということ」…それっきりだ。
黙らない被害者へ原因企業から支給される「補償金」が「口封じ」の機能を発揮していることがわかる。「救済資金」は加害・被害の両者の関係性が変質すると「被害者への買収機能」を発揮するというわかりやすい事例だ。

こうなると、メディアの報道も激減し、自治体も、形式ばかりだった中立性を失い企業側へシフトし、国立の環境保護局などは、「水道の蛇口から出る真っ黒の水」を飲んでも大丈夫だ、と意味不明のお墨付きを与える。住民は仕方なく飲むと、髪が抜けるなどの健康被害が出る。小さな少女は「黒いお水のお風呂に入って…」とボソボソと歌っている。

こうやって外堀を埋めることに成功した原因企業は、一転、「飲料水に安全宣言が出た」などと言って、タンクなどの設備を強引に持ち帰り、当初の救済策を絞り始める。

「救済策」で被害者を囲い込み、言論統制で支配
つまり「救済」を実際にやってみせて、その代わりに、原因企業へ「感謝」をもとめ、それを態度で示せといわんばかりに「会社への憤りや告発を封殺させる」。被害者を黙らせることで、その後に世論を抑え、抑えられた世論状況を背景に、あらゆるセクターを企業側に取り込んで、被害者救済策をじわじわと絞っていく。これを契約で縛りながら延々と「モグラ叩き」よろしく続けていくわけだ。実によく出来た一見合法的なシステムだが、憲法裁判所で徹底的に争われれば、たぶん原因企業は罰を受ける。だが、そのような骨のある住民を生み出さず、「何らかの補償をしてくれる原因企業には感謝しろ」という奴隷精神で管理することが、このシステムの第一目的であり、それは当分の間効果を発揮する。その間に、「時効」を稼ぐという戦術だろう。

どの国でも、被害者への各個撃破対策はあるし、保険数理に基づいた確信犯的なリコール隠しなどは米国のお家芸で、時々懲罰的損害賠償の対象になってきた。だが、このような手の込んだ形、被害者への「救済」のスローガンによる「囲い込み」方式は新しい。米国企業が、まさか、森永ヒ素ミルク中毒事件の支配方式を輸入した、とは思いたくないが、「“救済事業” を披瀝しつつ原因企業へ感謝を要求し、 “双務的協力関係”の“ワナ”に被害者を誘い込み、被害者の言論を封殺して原因企業の免罪を図る」という手法は全く同じだ。

これを党派的手法で実行しているのが現在の森永ヒ素ミルク中毒事件の「被害救済」の構図であり、契約で縛りながら実行しているのがアメリカだろう。どちらにしても、わずかな金や施策で被害者の頬をはたいて、「この金がほしいだろう、それなら俺たちの言う事を聞け」と、説教と刷り込みを続けた結果、その通りに被害者がコントロールされている姿だ。

「救済対策」の中身や体質を吟味せず「 “救済” してやっているんだから被害者は感謝しろ、そして周りは黙っていろ」というプロパガンダで、翼賛メディアや自治体を生み出し続ける。最後は被害の実相を世論の前から消し去り、抹殺できる仕掛けだ。「恒久的な救済」ではなく「恒久的な拘束・管理」だ。

番組ディレクターは、この構図についてコメントを試みようとして、言葉を失う。
「この代償は私たちみんなに降りかかってくる」…こう締めくくる姿をみて、
彼女のいいようの無い深い憤りと哀しみを感じた。


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